2年振りに美容院に行ってきた
オタクが敬遠しがちな場所ランキングを作るとだいたいいつも6位ぐらいにあがる場所。
何かわかりますか?
そうです、美容院ですね。
僕も例に漏れず美容院が苦手で、ここ2年ほど自分で髪を切っておりました(ちなみに2年前に行ったのは母親に「金をやるから外で切ってくれ」とマジのトーンで頼まれたため)。
しかし、先日久しぶりに美容院に、人生で2回目の来訪を遂げることになったので、その時の様子を認(したた)めたいと思います。今書いて知ったんですけど「したためる」ってこんな字書くんですね。絶対初見だと「みとめる」って読んじゃう。
この記事はあくまで、僕と同じように美容院を敬遠しているオタクに対する激励と警告であること念頭に置いて読んでください。
美容院や、そこで働く従業員の皆々様方を貶める意図は1Å*1もございません。
そもそもなぜオタクは美容院を敬遠するのか
この記事は基本的に僕と同じ「ド陰キャ・陰キャ」(ORANGE RANGEと全く同じアクセント)へ向けて書いているのですが、読者の中には僕が書いた記事読みたいというタダの僕のファンの陽キャも一定数いることでしょう。そういった方々のために一応、なぜ我々は美容院に行きたくないのかを列挙してみました。
その理由は本当は2021個あるのですが(偶然にも今年の西暦年と同じですね)、全部書ききると僕のノートPCのキーボードがぶっ壊れてしまうので、一部抜粋して掲載します。
・美容師さんと話すのが辛い
おそらく、オタク達がもっとも苦手とするのはこれだと思います。そもそも我々は、家族以外の他人とまともに話したことのない半生を送ってきているのです。他人と会話するだけでもハードルが高いのに、美容師さんは我々の素性を暴こうと様々な質問を投げかけてきます。
「お仕事は何をされてるんですか?」くらいならまだいいものの「趣味はなんですか?」と聞かれた場合、「エッチなゲームです」などと正直に答えるわけにもいかず、適当にありきたりな答えでお茶を濁すことになり、我々は嘘を吐いたという罪悪感に苛まれながら余生を過ごすことになるのです。
・内心でバカにされてそうでヤダ
次にあがってくるのがこれかと思います。オタクは自意識過剰な上に想像力豊かなので、美容師さんが「あいつオタクなのにこんなところ来てるよw」とか「えー、私あの人の頭触るの嫌なんだけど」とかを内心では思ってるのではないかと勝手に想像し、勝手に傷つくのです。
・怒られそう
これは少数派かもしれませんが、僕は思っていたので書いておきます。
髪のケアのケの字も知らないので、たぶん髪の状態は最悪です。それに対して「お客さん、ちゃんとドライヤー使ってないでしょ〜笑」なんて怒られ(イジられ)た日には「すみません……」と心の中で謝るしかないでしょう。それすら、僕にとっては致命傷になりうるのです。
そんなリスクを犯してなお、美容院へ行く理由
・フラれたから*2
オタクにはベタなことが大好きなオタクと、人と違うことが大好きなオタクがいます。僕は圧倒的前者です。人は失恋したときに髪を切るものであると、先週「恋アス*3」を観て学びました。ちょうど折よくフラれる機会があったのでバッサリ切りに行こうと思ったのです(自分で短くすると事故が起きかねないため)。
今書いていて気づいたんですけど、もしかすると失恋して髪を切るのって女性キャラがやることかもしれないですね。
あと普通に自分で切ってるとたまに、後頭部がハゲるんですよね。これを打破するためにも僕は美容院へ行く決心をしたのです。
STEP.1 予約
前提条件を話し終えたので、実際に美容院に行った話を始めます。
まず、美容院に行くためには予約(appointment)をする必要があります。
実は僕は、美容院のホームページと予約システムを制作したことがあり、そのときの運営状況をなんとなく知っているのでわかるのですが、とりあえずホットペッパービューティーで予約しておけば問題ないです。店側としてもその方がラクだし、予約時のマージンも2%ほどなので気にする必要はありません。むしろ月々掲載料が安くても数万円かかっているので、使ってあげた方が優しいくらいです。店員さん的には電話取る方が嫌だろうし。
実際、HPに載せてる電話番号にかけてくる人は老人しかいないです(偏見)。
わざわざこんなことを書いたのは、我々"陰の者"がめちゃくちゃ自意識過剰な人種だからです。店員さんに「あいつ、手数料高い方で予約しやがって……」などと思われる可能性が少しでもあれば、勝手にダメージをうけるのです。上に書いた通りなので、陰の者共は安心してホットペッパービューティーで予約しましょう。
そんな訳で僕はホットペッパービューティーで近隣の美容院を検索してよさげなのを探していたのですが、ここで問題が発生しました。
「メンズにもオススメ」と書いてあるのに掲載されている写真がほとんど女人(にょびと)なのです。
『男でも入れるんだー』と思って行ってみると、実際は女だらけだったなどということがあれば、場違い感に押しつぶされて平たくなってしまいます(スーパーペーパーマリオのマリオも、これと全く同じ理由で平たくなったらしいです)。
一通り検索してみた結果、都市部に出れば完全に男性向けの美容院もあったのですが、そこまで遠出するのも面倒だったので平たくなるのは仕方がないと思い、ある対策をしつつ近隣の美容院を予約しました。
その対策とは「一番高いメニューを選ぶ」です。
店員さん(特に偉い人)からの印象もいいだろうし、これで中和できるだろうと思ったからです。ちなみに実際に選んだのはカット+デジタルパーマでした。パーマはあてたこともないしデジタルパーマが何なのかもよくわからないのですが1万7千円ほどしたので多分正解だと思います。
しかし、この選択が当日僕の心を抉ることになろうとは、この時はまだ知る由もなかったのでした……。
STEP.2 店に行く
しばらく美容院に行っていなかったのでおぼろげな記憶ですが、店に入って最初に何か紙に書かされた記憶があったので少し早めに行った方がいいのかと思い、かなり早めに家を出ました。
久しぶりに家を出たのですが、家のすぐ目の前の道にマスターボールが落ちていて笑いました。
ドロップアイテムを見つけたのは人生で初めてです。いつの間に僕はレッド*4になったのでしょうか。
店に入ると見事に女性客しかいませんでしたが、それは想定内。
「こちらにおかけになってお待ちください」と言われ、そこで紙を渡され記入していきました。これも予想通り。
店員さんとの会話も事務的なもののみで、何事もなく順調に事が進み、あのクルクル回る上に高さが変わる椅子に案内されました。
目の前にはよくJDが反射自撮りに用いている鏡があり、鏡の下にはオシャレな雑誌がありました。その雑誌はヨーロッパのファッション特集のような感じで表紙に🏴 LONDONとか🇫🇷 PARISみたいなことが書いてあったので「ヨーロッパのオシャレな街の名前と国旗がセットで書いてあるのかな?」と思ったのですが、その次に🇩🇪 BERLINと🇳🇱 AMSTERDAMがあり「いや首都を書いてるだけか?」とも思い直しました。
しかし最後のところに🇧🇪 ANTWERPENという「首都でもないしオシャレでもない街(個人の見解です)」の名前が書いてあり髪を切る前に混乱してしまいました。
STEP.3 シャンプー
「まずシャンプーするのでこちらへどうぞ」と言われ、別室に案内されました。
なんで一回、鏡の前に座らせたんだと思わなくもなかったですがそういう作法があるのでしょうか。
そうしてグレーアッシュでショートカットなお姉さんにシャンプーをしてもらったのですが
超気持ちいい………………
僕の中の北島康介が出てきてしまいましたが、マジで気持ちよかったです。会話も「痒いところありませんか?」「大丈夫です」みたいなテンプレートの使い回ししかしなかったのでノーダメージでした。
最後に髪をタオルで拭いてもらって、その流れで耳の内側にもタオルを突っ込まれたのですが性癖が歪むレベルで気持ちよかったです。
というかこれが気持ちよかったということを伝えるためにこの記事を書いているまであります。お前ら早く美容院を予約しろ。
STEP.4 「どんな感じにします?」
シャンプーを終えて、再び回る椅子に座ると、今度はお姉さんではなくガタイの良いお兄さん(以下、ガタ兄)が現れました。
ガ「今日担当させていただく〇〇です、よろしくお願いします」
僕「あ、よろしくお願いします」
陰の者なので、最初に「あ」と言ってしまいましたが、普通に挨拶はできました。プラス1ポイントです。
問題はその後でした。ガタ兄は僕の髪を一通り手で掬いながら観察したあと、こう言いました。
ガ「パーマのご予約でお間違いなかったですよね」
僕「あ、はい。そうです」
ガ「ちょっと髪が傷みすぎちゃってるんで厳しいかもしれないですね」
僕「マジですか……」
ガ「マジです。お客さん、もしかしてこれ、自分で染めました?」
僕「……はい」
ガ「ブリーチして黒染めしました?」
僕「…………はい」
ガ「両方自分で?」
僕「……………………はい」
この時点で、僕のメンタルはかなりズタボロでした。自分の髪のこととはいえ、何か責められてるような気がして胃がキリキリと締め付けられます。
それっと、正直な話、僕は美容師さんを舐めていました。
初見でNO情報から僕の髪遍歴をズバリ当てられるだなんて思っても見ませんでした。
ただ逆に、髪遍歴を当てられたことでダメージを負いつつも、この人は腕の良い美容師さんなのではないかという思考も浮かんできました(占い師が相手の近辺情報を当てることで自分を信用させるのと、全く同じテクですね)。
その後、10分ぐらいかけて「今パーマをかけるといかに危険か」ということを説明されました。そして————
ガ「って感じなんですけど、どうしますか?僕はパーマはおすすめしないです。カットだけの方が……」
僕「すみません、カットのみで……」
なんということでしょう。おそらくパーマ用の長時間の枠を確保していただいたのにも関わらず、それの5分の1にも満たない値段のカットを注文することになりました。
先ほど述べましたが、僕は精神的負荷を抑えるために一番高いメニューを選んだのです。その選択が仇となり、普通にカットをお願いするよりもさらに精神的負荷が高い状態でカットしてもらうことになりました。
しかし、実際にカットが始まると会話は最低限で「こここれぐらいの長さでで大丈夫ですか?」「あ、はい。大丈夫です」ぐらいのものでした。美容師さん特有の探りを入れるような質問(僕はこれを『詰(きつ)』と呼んでいます)がなかったのは嬉しかったです。特有といっても、僕は美容師さんにほとんど会ったことがないので想像上の美容師ですが。
カットが終わるとガタ兄は合わせ鏡を用いて僕の後頭部を映し出してくれました。僕の家にある鏡のサイズは合わせ鏡をするには小さく、自分の後頭部を見るためにいちいちスマホで後頭部の自撮りをしていたので、それに比べると特段快適に自分の後頭部を見ることができました。そしてプロに切ってもらったためか、いつもより自分の後頭部が美しく見えます。
ガ「こんな感じで大丈夫ですか?」
僕「はい、大丈夫です」
今思い返してみても、僕の発した言葉のほとんどが「大丈夫です」な気がします。僕の頭(髪)は大丈夫になっても、僕の頭(脳)は大丈夫じゃないのかもしれません。
そんなこんなでカットを終えてもらい満足していたのですが、再びガタ兄が口を開きます。
ガ「それじゃあ、シャンプーしましょうか」
そう言うと再びグレーアッシュでショートカットなお姉さんが現れました。
3300円で2回も気持ちよくなれて、ついでに髪まで切ってもらえるなんて安すぎませんか?
日本の将来が心配です。
STEP.5 お姉さんとの会話
シャンプーをしてもらっている間は初回シャンプーと同じく、最低限の会話しかありませんでした。一言だけ「結構短くなりましたね笑」とだけありましたがそんなもんです。
しかし、シャンプー後、再び回る椅子に戻されドライヤーをかけてもらっているときにはなんとお姉さんが『詰(きつ)』を繰り出してきました。
でもそれは、よくある不快なものではなかったのです。
姉「さっきちょっと聞こえてたんですけど、一回黒染めしたんですか?」
僕「あ、はい。そうなんです」
姉「バイトとかですか?」
僕「そうです」
姉「どこでバイトされてるんですか?」
文字に起こすと、普通の『詰(きつ)』のように見えるでしょう。しかし、実際受けた印象はまったく違います。
このお姉さん、僕が話してから返事をするまでに2~3秒のラグがあるのです。
なんというか、初対面の人と話すのが苦手でだけどなんとか場を持たせようとしている感じが滲みでているのです。この時点でこのお姉さんの好感度は爆上がりです。
ドライ後、お姉さんにワックスをつけてもらったのですが、そのときも
「ワックス映えする髪質で羨ましいです」
と冗談めかしつつも褒めてもらい、僕のメンタルは完全に回復しました。
STEP.6 お会計
全て終えて僕は金を払います。時代はキャッシュレスなのでもちろんクレジットカードです。
お金を払うことには慣れているので、滞りなく、お会計は終了しました。
会計を終え店を出ると、店員さんが店の外まで出て見送ってくれます。これはよく他の人が見送られているのを見るので知っていました。軽く会釈し、店を後にしました。
結論
・髪のケアに対して何かを言われることはある
美容師さんに自分で染めたことを指摘され、髪質がヤバイということも教えてもらいました。なんとなく責められているような気になってしまう方はある程度のダメージを覚悟しておいた方がいいです。
あと、さっきは書かなかったんですけど、僕が普段ドライヤーを使っていないことや、トリートメントを使っていないこと、ヘアアイロンを使いまくっていることなども指摘され(全部当たってる)、さらに自分で切った後頭部や自分で剃ったもみあげに対して「ここもうちょっと生やした方がいいっすよ」などと脅されました。
もう自分で切るのが怖くなったので、しばらくは美容院にお世話になると思います(乗せられた感)。
・話しかけまくってくる美容師さんしかいないわけではない
これは正直意外だったのですが、僕が今回行った美容院では皆、趣味等を聞き出してきませんでした。一応、よくある質問とその解答集は作って行ったのですが杞憂だったようです。
・シャンプーがめちゃくちゃ気持ちいい
これだけは今回伝えたかったのです。まじで気持ち良すぎました。
・とりあえず一回行ってみろ
想定していたよりも、かなり精神的負荷は少なかったですし、何より想定外の気持ち良さがありました。
値段もカットのみなら3000円代でできるところがたくさんあります。飲み会1回分と考えればかなり安いですし(僕は飲み会に誘われたことがありませんが)、お試し感覚で行ってみるのも悪くないと思います。
でも、パーマを選ぶのだけはやめておきましょう。
それでは、また次回。